旅の準備はじめよう
【浅草】スカイツリーが見られる創業100年のおでん専門店「浅草おでん大多福」
冬に日本に来たら是非味わって欲しいのが、熱々のおでん。五臓六腑を満足させる、最適な方法の1つといっても過言ではありません。東京の浅草・隅田川近くにある「浅草おでん大多福」では、スカイツリーを眺めながら100年の歴史を持つ香り高いおでんを味わうことができます。
おでんとは、日本で主に冬の時期に食べられる、定番の煮込み料理。
おでんは、日本の室町時代(1336–1573年)に生まれました。竹串に刺した豆腐に味噌をつけた「豆腐田楽」が始まり。その後、江戸時代後期、関東エリアで醤油づくりが盛んになり、醤油ベースの煮込み料理が発展し、今日の「おでん」になりました(諸説あり)。
浅草の商業ビルに、ひっそりと佇むおでんの老舗が、「浅草おでん大多福」。心まで温めてくれるおいしい料理をいただけるだけでなく、日本の食文化の変遷も辿れるお店です。
店名「大多福」の由来と歴史
店名は、商売繁盛のご利益があると言われる「おたふく」から来ています。創業の地は大阪。なぜ、日本料理がたくさんある中で、創業者は「おでん」のお店を始めたのでしょうか?
明治時代になって新しい時代が始まった創業当時、大阪では飲食店の競争が激化していました。しかしその中で、おでんはあまり知られていない料理でした。そこで創業者は、大阪の飲食業界に新風を吹き込むべく、おでん専門店をオープンさせたのです。1915年頃、大阪から東京・浅草に移転しました。
関西風?関東風?東西のいいとこ取りのおいしさ
おでんは2種類に分けられます。鰹節・醤油をベースにした関東風と昆布・塩で味付けした関西風です。「大多福」は始め、大阪人の口に合わせるため関西風に近い味付けにしていましたが、東京に移った後は味を調整し、関東と関西のおいしさを融合させた味を生み出しました。
おでんの具材選びの基準
約40種類の具材を提供する大多福には、「具材選びの原則」があります。それは、「出汁の旨味を引き出せる食材しか、鍋の中に入れない」というものです。
例えば、カレー団子(カレー風味の練り物)や紅生姜、しいたけなどの食材は、そのまま食べると非常においしいですが、本来の味が強すぎるため、おでんの具としては適していません。
また、お店のスタッフや料理人たちはお客さんとのコミュニケーションを大切にしています。これも食材がさらにおいしくなる理由の1つかもしれません。
大多福で人気の食材は?
写真中央にあるのが大根。後列左からちくわぶ、にんじん、フキ、がんもどき
大根はおでん界の王様と言われていますが、大多福でも例外ではありません。出汁が染み込んだ半透明の大根は、箸が簡単に入るほど柔らかくなっています。口に含んだ瞬間に出汁のたっぷり染み込んだ大根の香りが立ちのぼり、「具材選びの原則」を身をもって体感することができます。
大根:税込330円
豆腐やにんじん、れんこん、ごぼうなどの食材で作ったがんもどきも、必ず食べたい人気の一品です。豆腐の柔らかい食感と、歯ごたえじゅうぶんのほかの食材とがうまくマッチし、何重もの食感が味わえます。
がんもどき:税込330円
このほか、にんじんやフキ、ちくわぶ(※1)なども人気のある食材。何を注文したらいいかわからない人は、是非参考にしてみてください。
にんじん:税込110円、フキ:税込280円、ちくわぶ:税込170円
※1:ちくわぶ……小麦粉のみで作った輪っか状の食材
お酒好きなら絶対に食べたい酒のつまみ
大多福はおでん以外にも、お酒好きのためにお酒に合うメニューも提供しています。その中で、もっとも人気でオリジナリティもあるのが「牛すじの煮込み」(税込1,000円)と鮪ぬた(税込1,100円)です。
牛すじ煮込みは甘めの味付けながら飽きることのない味わい。脂分が豊富な牛すじは、口に入れるとすぐに溶けてしまいます。
鮪ぬたは脂分が少なく、さっぱりとした鮪の赤身を使用。漬け込んだワケギと味の濃い赤味噌が添えられています。
赤身のなめらかな口当たり、ワケギのさっぱりとした味わい、そして赤味噌のしっかりとした味……おいしさの三重奏が口の中に広がります。
帰りの際は、木の札を忘れずに
入り口近くにあるレジは、とってもレトロな雰囲気。100年前の開店時の様子を再現しているそうです。レジの正面にかけられている円形の木の札は、店内の席の番号を表しています。
席に着くと、スタッフが木の札を席まで持って来てくれます。お会計時には、この木の札をレジに持って行くようにしましょう!
まとめ
多くの旅行者の頭に浮かぶ「おでん」は、日本の伝統的な食べ物かもしれません。しかし「浅草おでん大多福」にとって、おでんは時代の流れとともに歩み、日本においしい料理を広めた象徴でもあります。そのような誇りを抱き続けているからこそ、創業から100年以上経ってもそのおいしさが受け継がれているのかもしれません。
浅草おでん大多福周辺のおすすめホテル
東京に出てきて11年目です。